「記憶の福岡、未来の福岡──歩いて感じた街の今」

お出かけ

数年ぶりに帰った福岡の街。
コロナ禍が落ち着いてから初めての帰省は、懐かしさと驚きが入り混じる、まさに“思い出の地をめぐる旅”となりました。

フェリーで静かに始まった旅路から、再開発が進む天神の高層ビル群、博多駅に延伸された地下鉄七隈線──街はどこも新しくなっていて、かつての風景を探すたびに、胸の奥がきゅっとなりました。

それでも、変わらない光景や、ふと感じた地元の空気、そして人の流れに触れるたび、「やっぱり福岡は私にとって特別な場所なんだ」と、しみじみ感じずにはいられませんでした。

この旅では、そんな“変化と記憶”が交差する福岡を、じっくりと歩いて味わってきました。
その道中を写真とともに振り返りながら、私なりの視点で綴ってみたいと思います。

【帰省旅の始まり】フェリーで向かう懐かしき福岡、新門司港にて

久しぶりの帰省。コロナ禍が明けて初めての福岡は、懐かしさと新しさが入り混じる、ちょっと特別な旅でした。

物価高が続く今、少しでも旅費を抑えるために選んだのは「フェリーでの帰省」。

時間はかかりますが、その分、旅情や景色をたっぷり味わえるのがフェリー旅の魅力です。

この写真は、新門司港に到着する直前、フェリーの甲板から撮影したもの。朝の澄んだ空気の中、日本の国旗が風にたなびき、港の向こうには北九州の街並みが静かに広がっています。

遠くに見えるのはすでに到着している別のフェリー。新門司港は九州と本州を結ぶ主要なフェリーターミナルとして、多くの船が発着する活気ある港です。

新門司港ってどんなところ?

新門司港は、福岡県北九州市門司区に位置する港で、本州の大阪や神戸からのフェリー航路の終着点として知られています。

特に、長距離フェリーでの帰省や旅行、物流の中継点として、多くの人々と物が行き交う場所です。

港の周囲は工業地帯や倉庫群が広がっていて、一見すると無機質な風景にも見えますが、その静けさの中に“九州に帰ってきた”という実感がふと湧いてきます。

フェリー旅ならではの楽しみ

船旅の良さは、何といっても「移動そのものを楽しめる」こと。

甲板に出れば、朝焼けや夕暮れ、星空、広がる海原……時間帯によってまったく異なる表情を見せてくれます。

揺れに身を任せてぼーっとするのも贅沢な時間。気づけば日常のストレスがふわっと軽くなっているような感覚に包まれます。

また、フェリーにはお風呂や売店、レストラン、ラウンジなどの設備があり、長旅でも快適に過ごせる工夫がいっぱい。

小さなお子さん連れや、のんびり旅を楽しみたい方には特におすすめです。

懐かしさと変化が交差する帰省先

数年ぶりに訪れた福岡は、変わらない景色とともに、新しくなった街並みやお店もあり、驚きや発見の連続でした。

昔通った場所を再び歩くと、ふとした香りや音に懐かしい記憶がよみがえってきます。

旅の始まりをこのフェリーと新門司港が彩ってくれたことは、きっと心に残る思い出のひとつになるはずです。

【博多駅の新風景】地下鉄七隈線の全線開通に驚きと感動

久しぶりに訪れた博多駅で、思わぬ「変化」に出会いました。

改札周辺や通路のあちこちに見慣れない「七隈線」の文字──その瞬間、思わず「えっ、七隈線が博多まで来てる!?」と声が出てしまいました。

実は私、地下鉄七隈線が全線開通してから博多を訪れるのは今回が初めて。

まったく予備知識がなかった分、現地でその事実に気づいたときの驚きと感動はひとしおでした。

七隈線の博多延伸とは?

福岡市地下鉄七隈線は、もともと福岡市西南部の橋本駅から、天神南駅までを結ぶ路線でした。

しかし、都市の利便性向上を目的に、長年かけて天神南駅から博多駅までの延伸工事が進められてきました。

2023年3月、その新たな区間がついに開業。

七隈線が博多駅と直結したことで、天神エリアから博多駅への移動がよりスムーズになり、観光客はもちろん、通勤・通学で利用する市民にとっても大きな利便性の向上となりました。

新しい交通の拠点としての博多駅

地下鉄七隈線の延伸により、博多駅はさらに大きな交通のハブへと進化しました。

JR、新幹線、地下鉄空港線、バス、高速バスに加え、七隈線の乗り入れで市内各方面へのアクセスが一段と便利に。

地下通路の構造や案内サインも整備され、初めての利用でも迷いにくくなっている印象を受けました。


ふとした気づきから始まった、博多駅での新しい体験。

かつての「見慣れた場所」が変化し、でもどこか懐かしさを残している──そんな瞬間は、旅先での何気ない驚きと喜びを感じさせてくれますね。

【街の変化を感じながら】博多から天神へ、懐かしさと発見の散歩道

久しぶりの福岡、今回は地下鉄やバスをあえて使わずに、博多駅から天神まで歩いてみました。

博多の街並みは昔と変わらない部分もありながら、新しい建物や施設、整備された歩道や広く感じる車道など、確実に時が流れていることを実感させてくれます。

途中にはおなじみのキャナルシティ博多があり、その独特な外観と都市の中のオアシスのような空間は、やはり何度訪れても心が躍ります。

街歩きの途中で見えた「博多ポートタワー」

特に印象に残ったのが、整備された道路の先にすっと見えた博多ポートタワーの姿。

「こんなところから見えてたっけ?」と思わず自問するような、ちょっとした驚きと懐かしさがこみ上げてきました。

ポートタワーといえば、1964年に開業した高さ103メートルの展望塔。

赤い鉄骨のフォルムが美しく、無料で入れる展望室からは博多湾や志賀島まで見渡せる、地元民にも観光客にも愛されるスポットです。

現在では周辺エリアも整備され、「ベイサイドプレイス博多」や「波葉の湯」などの複合施設も加わり、再開発が進んでいます。

こうして街の中からその姿が見えることで、福岡港と街のつながりをふと感じさせられる瞬間でもありました。

歩いてこそ見える、福岡の表情

徒歩での移動は、バスや地下鉄では気づかない小さな発見の連続です。

「こんなところに新しいカフェが?」「あのお店、まだ残ってる!」といった嬉しい出会いや、道端の花の香り、空の広さにまで気づけるのは、歩く旅ならではの楽しみ。

とくに博多から天神までのエリアは、観光・商業・居住が入り混じる場所。

古くからの街並みに、新しい建築が溶け込む風景は、福岡という都市の「今」を映し出しているように感じました。


新しい施設や整備された道路に驚きつつも、懐かしい光景と再会できた喜び。
そんなひとつひとつが、今回の帰省の大切な思い出になったのではないでしょうか。

【再開発の波と記憶の狭間で】天神の新名所「ONE FUKUOKA BLDG」と思い出の風景

博多から天神まで歩いてたどり着いた先で、思わず足が止まりました。

そこにそびえ立っていたのは、噂に聞いていた「ONE FUKUOKA BLDG」。

まるで都会のランドマークのように輝くそのガラス張りの高層ビルは、福岡の“今”と“これから”を象徴しているかのようです。

でもその場所は、かつての思い出が詰まったエリアでもありました。

福ビル、天神コア、ビブレ──青春の一部だった風景

この場所には、かつて福岡ビル(通称:福ビル)や、若者文化の発信地として親しまれていた天神コア、そして天神ビブレがありました。

買い物や待ち合わせ、イベント参加…日常の中で何度も通ったその場所が、すっかり新しい建物に生まれ変わっている姿を見て、正直なところ驚きと少しの寂しさが胸をよぎりました。

新しい建物は確かに立派で、洗練されていて、夜のライトアップも美しい。

でも、かつての雑多で賑やかな雰囲気や、階段の踊り場で感じた空気、ショップの音楽……そういう記憶が、今のきれいな街並みの中にすっと溶けてしまいそうで、不思議な気持ちになりました。

ONE FUKUOKA BLDGとは?

2024年に誕生した「ONE FUKUOKA BLDG」は、旧・福ビル跡地を中心とした再開発で建設された、オフィス・商業・ホテルが融合する複合施設です。

外観はシンプルながら高級感があり、環境への配慮として建物の一部には緑の壁面が施されているのも印象的。

1階から上階へと吹き抜けるような大空間のエントランスには、光が差し込み、とても開放感があります。

今後は、国内外からのビジネス利用客や観光客にとっても新たな拠点となることでしょう。

変わっていく街、変わらない記憶

再開発によって、街は大きく姿を変えていきます。

それは、時代に必要とされる進化であり、福岡が前向きに発展している証でもあります。

だけど、その変化の中に、自分だけの“記憶の風景”を見つけると、なんとも言えない切なさがこみ上げてくるものですね。

それでも、こうして新しい街を歩き、懐かしい思い出と再会し、そしてまた新たな思い出を刻んでいく。
それが、旅であり、帰省であり、人生の一瞬なのかもしれません。

【静かに見つめた夜景】変わらない光に安心するキャナルシティの夜

旅の終わりに近づく頃、ふと足が向いたのは、博多の夜の定番スポット「キャナルシティ博多」。

大きなショッピングモールと劇場、ホテル、レストランが一体となったこの複合施設は、昼間の華やかさとはまた違い、夜には幻想的なイルミネーションに包まれます。

特に川沿いに灯る光は、水面に映り込み、まるで絵本の中の景色のよう。
この夜も、青く輝くイルミネーションやネオン、そして木々に飾られたライトアップが、通りすがりの人々の足を止めていました。

賑わう屋台通り、でも私は少し距離をおいて

このあたりは屋台へのアクセスも良く、夜になると一気に人が増えていきます。

観光客や仕事帰りの人たち、賑やかに語らう声とともに、まちが活気を帯びていくのが肌でわかるほど。

でも今回は、そんな人混みにはあえて加わらず、少し遠くから静かに景色を眺めることにしました。

屋台の灯りと、キャナルシティのビル群、そして水辺に映る光たちを、ただぼんやりと見ている時間。
それが、思いがけない癒しのひとときになったのです。

変わる街、変わらない灯り

福岡の街はどんどん姿を変えています。

新しいビル、整備された道、便利になった地下鉄。どこを見ても「未来へ進む都市」の姿がそこにあります。

けれども、夜のキャナルシティ周辺は、何年経っても変わらず、そこにある光と温もりで迎えてくれます。

「ああ、ここはまだ変わっていない」
そんなふうに感じられる場所があるというのは、帰省の旅において何よりの安心感かもしれません。

【まとめ】変わりゆく街、でも私にとっては「思い出の福岡」

天神の再開発についてはニュースで見聞きしていたものの、実際に歩いてみると、新しい施設が次々と生まれ、まだまだ開発が進行中。

天神バスターミナルもすっかりリニューアルされ、「ここはどこだっけ?」と迷うほどでした。

それでも福岡は、私にとって思い出が詰まった大切な場所。

変わりゆく街に少しの寂しさを覚えながらも、住みやすくて、おいしいものがたくさんあって、やっぱり素敵な街だと再認識しました。

また帰省するときには、今度こそもっとゆっくり、もっとじっくりと、福岡の魅力を味わいたいと思います。

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